氷の美女と冷血王子
その後は、無口でおとなしい子と思われながら小学校時代を過ごした。
友達も少なかったし、学校に行くのも好きではなかった。
そんな私を見かねた母さんが、中学は私立の女子校に行かせてくれた。
当時の家庭事情を考えればかなり無理をしてくれたんだろうと思う。
だからこそ、今度こそ友達をたくさん作ろうと私なりに努力した。
人並みにおしゃれもして、部活も軽音部に入り、自分から一生懸命話しかけた。

しかし、その私の行動は裏目に出てしまう。
気を遣ったはずのおしゃれは悪目立ちしてしまい、派手で遊んでいる子ってイメージがついてしまった。

「ねえ君、ちょっと付き合ってよ」なんて、街で声を掛けられることも珍しくなかった。
明るい昼間の人混みなら無視して逃げることもできるけれど、帰り道の裏通りでは何度か危ない目にもあった。
もちろんなんとか逃げ切りはしたけれど、あの時の恐怖は今でも消えない。

結局、中学でも友達はできず、2年の途中から学校で口をきかなくなった。
それなのに、「お高くとまってる」だの、「美人を鼻に掛けている」だのと陰口を言う人は絶えない。
中学時代、この頃が私にとって一番辛かったのかもしれない。
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