僕からの溺愛特等席
「頭、失礼します」
そう言って糸くんは二階から持ってきたタオルで私の頭をわしゃわしゃと拭いた。
「私、自分で出来るよ!?」
「それくらい、わかってますよ。僕がしたいだけですから」
こういう所を、優美さんに見られると不味いのではないか。
優美さんじゃなくて、旭さんに見られたら、何だかややこしくなりそうだ。
「ほ、ほんとに大丈夫だから。ありがとう糸くん」
糸くんの手がぴたっと止まった。しばしの無言に顔をあげると、無表情の糸くんが私を見ていた。
「野間さん、髪切ったんですね。とっても似合ってます」
「ありがとう……。よく気づいたね、そこまでバッサリ切ったわけじゃないのに」
「野間さんのことなら、分かりますよ」
「え?」
相変わらずにこりとも笑わない糸くんが、少し怖くなる。ええっと、褒めてるんだよね? と確認したくなる。