愛を孕む~御曹司の迸る激情~

「私、成宮さんと再会してから、曖昧な行動ばかりしてました。昨日の食事も、やっぱり私が断るべきだったんです。」


 私は彼の好意を気づいていながら、見て見ぬ振りをして.....。むしろ、自分にもその気持ちが残っているのではないかと、揺れることさえあった。

 でも、違った。

 きっと、過去の自分に執着していただけだったんだ。成宮さんからキスをされ、突き飛ばしてしまったあの時。真っ先に浮かんだのは、祐一の顔だった。


 成宮さんのことをまだ心のどこかで好きでいるのなら、きっと、あのまま彼を受け入れていた。

 だけど、もうあの頃の私とは違うから。今の私には、祐一がいるから。ボロボロになった私を、どん底から優しく救い出してくれたのは祐一だったから。

 私の選ぶべき道は、最初から一つだった。


「もう、二人で会うのはやめにします。お誘いを受けても、ちゃんとお断りします。」

 だから、私は今ここではっきりさせなきゃいけない。この曖昧さは、祐一のことも成宮さんのことさえも、傷つけることになるから。


 私はそう言いながら顔を上げ、成宮さんの方へと体を向けた。

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