愛を孕む~御曹司の迸る激情~

「ごめん。でも、ちょっとでも二人の顔が見たかったから。」

 そう言う祐一の腕の中には、いつになく嬉しそうな琴音がいて、胸がギュッと締め付けられた。

「ねえパパ?今日はこっちゃんとご飯たべる?」

 すると、突然そう言い出した琴音。ドキッとした私たちは、思わず顔を見合わせた。


 祐一に初めて琴音を会わせたのは、ちょうど2歳になった時。それまでは、産まれた時に一度写真を送っただけだった。

 彼は、私が実家に引っ越した後、毎週のように連絡をくれた。やはり自分の子供のことは気になるようで、ただただ私の体調を気にしていた。

 私は、そんな彼を無下にはできず。良心からか、産まれた時に一枚だけとびっきり可愛い写真を送った。

 写真を見たら、さすがに会いたいと言われるのではないかと覚悟していたけれど.....。彼はただの一度も言わず、写真を送って欲しいとお願いしてくることもなかった。

 ただ、無事を確認するだけのメッセージが続き、手紙に書いていた言葉を守っているかのよう。でも、それが返って辛かった。

 あからさまにそういう言葉を避け、我慢しているのがひしひしと伝わってきたから。


「どうして?また、お仕事?」

「うーん、そうだねー......」

 口籠もる祐一の服を、寂しそうにギュッと掴む琴音。私はそんな姿を見ていられず、そっと頭を撫でていた。

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