死んでもあなたに愛されたい
案内ならあたしだけでも。
……とも思ったけど、そもそもあたし、この街のことあんまり知らなかった。
それを汲んでか、おじ様が『放課後に4人で回るといいよ』と提案したのだ。
はたから見たら、ダブルデートの真似ごと。
あたしでさえ成し遂げなかったデートを、こんなにも早く実現させるなんて……おそるべし。
昨日言っていたことが、実は口実で。
つぅちゃんは本当は、魁運と親交を深めたかっただけだったらどうしよう。
……いや、どうしようじゃない。
あたしゃ戦うぞ! 思いきりじゃましてやろう!
「北校ってこんな感じなんですね。ウチと全然ちがう」
「少し古びていて、耐久性に不安はありますが、平々凡々な雰囲気は趣がありますね」
「校内も見てみたいですが……それは体育祭のときの楽しみにとっておきます」
つぅちゃんは望んで白園学園に入学した。
自分の置かれた状況からは逃れられない。
選ばれた妹にも、ワケがある。
「北校の生徒さんは、放課後何をして遊ばれているんですか?」
「繁華街じゃねぇの?」
憶測の話をする魁運。
あたしたち、ほとんど寄り道しないもんね。
したいんだけど、いつもお話に没頭しちゃって。
魁運との時間って、なんであんなにも楽しくて、あっという間なんだろう。