死んでもあなたに愛されたい
「繁華街! 行ってみたいです!」
つぅちゃんのご希望に応え、早速繁華街へ。
到着した直後、背後から悪意を感じ取った。
すぐ振り向けば。
「……おっと、こんなところにハエが」
「…………」
「お気になさらず」
「…………」
赤羽くんが軍手をつけた手で、空をわしづかみにしていた。
いつの間に軍手をつけたんだろう……。
いや、それよりも!
手の中にきらっと光るものがあった。
この前と同じ刃物だろうか。
また、狙われてる……?
「ひとみ様、行きましょう」
「……そう、ですね」
平然としている赤羽くんに合わせ、あたしも何ごともなかったかのように振る舞う。
さっき感じた悪意はひとつだけじゃなかった。
用心しておかなくちゃ。
「ひとみ、はぐれんなよ」
「わわ!?」
足を止めていたあたしの肩を、魁運が強引に抱いた。
こっちの用心はしてなかった!!
不意打ちのプロ、現る!
一生この特等席で拝ませてください!!
「魁運、人がいっぱいいるから、もうちょっと近寄ってもいい?」
「好きにしろ」
しま~~~~す!!
隣に半歩詰めて、学ランの裾をきゅっとつかんだ。
レッツ恋人ごっこ。