死んでもあなたに愛されたい
「ひぃちゃん! このチェックスカートどうかな?」
「短めでかわいいね。つぅちゃんなら、ベージュよりモカのほうが似合いそう」
「ほんと!? 迷ってたんだよね。こっちにしようかなあ」
このお店に来て、10分。
やけに視線を感じる。
あの集団心理……じゃ、ないな。
これは、始めに感じた、悪意と似てる。
「このスカートね、ジャケットとセットアップらしくて……」
「つむぎ様、こちらにもお似合いのものがございますよ」
できるだけ自然に、赤羽くんが出入口近くの商品棚へエスコートする。
つぅちゃんの顔つきが変わった。
「……もしかして、敵襲?」
店の中から数名。
外に複数。20近くいる。
一般客を装っているものの、その影はひどく穢れている。
あたしの眼は、あざむけない。
「どうして急に……」
「魁運が離れたからだろうね」
おそらく、敵はそこらへんのチンピラ。
白雪組が都合よく雇ったのか、神亀の私怨か。
何であれ、死神のうわさを知っているなら、今まで距離を取っていたのも納得できる。
「この場で片づけますか?」
「だめだよ純也! 一般人も巻きこんじゃう」
「かといって、あたしたちはここの土地勘があんまりないから、逃げても逃げ切れるかどうか……」