死んでもあなたに愛されたい



「ひぃちゃん! このチェックスカートどうかな?」


「短めでかわいいね。つぅちゃんなら、ベージュよりモカのほうが似合いそう」


「ほんと!? 迷ってたんだよね。こっちにしようかなあ」




このお店に来て、10分。


やけに視線を感じる。

あの集団心理……じゃ、ないな。



これは、始めに感じた、悪意と似てる。




「このスカートね、ジャケットとセットアップらしくて……」


「つむぎ様、こちらにもお似合いのものがございますよ」




できるだけ自然に、赤羽くんが出入口近くの商品棚へエスコートする。


つぅちゃんの顔つきが変わった。




「……もしかして、敵襲?」




店の中から数名。

外に複数。20近くいる。


一般客を装っているものの、その影はひどく(ケガ)れている。


あたしの眼は、あざむけない。




「どうして急に……」


「魁運が離れたからだろうね」




おそらく、敵はそこらへんのチンピラ。


白雪組が都合よく雇ったのか、神亀の私怨か。

何であれ、死神のうわさを知っているなら、今まで距離を取っていたのも納得できる。




「この場で片づけますか?」


「だめだよ純也! 一般人も巻きこんじゃう」


「かといって、あたしたちはここの土地勘があんまりないから、逃げても逃げ切れるかどうか……」



< 108 / 329 >

この作品をシェア

pagetop