死んでもあなたに愛されたい
「おーい! ひぃちゃーーーーん!!!」
赤軍の待機スペースの、ちょうど真ん前。
客席の先頭を派手に陣取ってる、はた迷惑な客。
他人のふりをしたくてもさせてくれない。
「……や、やっほー、つぅちゃん」
「赤羽も一緒か」
「そうみたいだね……」
「あんな目立ってていいのかよ」
「あはは……どうだろう……」
白レースのワンピースを着たつぅちゃんと、藍色のスーツをまとう赤羽くん。
客席にはふたりだけ……だけど。
おそらく周囲には、警備隊が配置されているにちがいない。
それも、百に近い規模で。
校門のところではなぜか兵吾郎とも遭遇した。
彼も警備隊のひとりに任じられたのかもしれない。
これぞ、白鳥家の本気。おそろしや。
「ひぃちゃーん! 約束どおり、お弁当持ってきたよー! あとで一緒に食べよー!」
「う、うん! ありがとー……」
つぅちゃんの隣に、重箱が置いてある。
もしかしてあれが、あたしのお弁当とか言わないよね?
あれ何段あるの? 食べきれるかな……。
こんなダイナミックなやり取りをしていたら、周囲から注目が集まるのも当然で。
魁運とつぅちゃんがにらみ合いを始める前に、静かに退散した。