死んでもあなたに愛されたい
そうして、いよいよ体育祭スタート!
最初は100メートル走。
なんと魁運は第一走者。
位置についた魁運に、ほかの走者は怯えきっている。
「あいつサボれよ……」
「一緒に走るとか無理。まじ無理」
「あいつら可哀相……」
「死神を追い越したら殴られそう」
出場選手も、応援席も、観客席すらも。
みんなして、ぴーちくぱーちく、うるさいな。
大丈夫だよ魁運!
あたしがぜんぶ蹴散らしてあげる!
「魁運んんんん!! がんばれええええ!!!」
「……ふっ、すげぇ応援」
あ! 魁運が手を振ってくれた!
応援、届いたのかな。届いたよね!?
あたしもつぅちゃんのこと言えないな。
大切な人には、自分の声をちゃんと届けたいよね。
伝わると、よりうれしくなるよね。
「位置について、よーいドン!」
パンッ!とスターターピストルが響いた。
颯爽と魁運が走り出す。
「いっけえええかいうーーーん!!」
へなちょこライバルたちをビビり倒したれーい!!
走れ走れ! かっとばせー!
観客にも見せつけろー!!
「1位、永鳥魁運!」
「わあああ!! すごおおい魁運!!!」
圧倒的差をつけて、一番にゴールテープを切った。
魁運には1位が似合うね! かっこいいよ!
こうなったら評判を逆手にとって、全出場競技で勝ちまくるしかない!