死んでもあなたに愛されたい







「クラスのヤツらは、いいヤツらだと思う」


「思う……?」




あ、右に曲がった。




「センセーも基本やさしいし」


「基本……?」




お、次は左か。




「真面目に授業に出てりゃ、成績も心配することねぇはずだ」


「はず……?」




また右。と思ったら、左。

さっきからくねくねと移動している。


影に覆われた、路地裏を。



1本向こうの道は大通りで、車や人の往来が激しく、明るい。


どうしてわざわざ暗い道を選んでるんだろう。

近道を教えてくれてるのかな。




「何かわかんねぇことあったら、クラスのヤツとかセンセーとか気軽に頼れよ」


「う、うん……」




登校ルートもおかしければ、魁運の言葉もどこか引っかかる。

言い方があいまいだし、客観的なようにも思う。


どうしたんだろう。

歩き出してから、魁運の様子がちょっと変。




「ひとみの下駄箱と席の位置は、どっちも左角だ」


「わ、わかった」


「あと、下校のときは、大通り歩いて帰れよ」


「え、なんで?」


「そっちのが安全だから」




こっちは安全じゃないの? 今は歩いていいの?

どういうこと??


あ、アレかな。日が暮れたら、暗い道をひとりで歩くのは危険だって、遠回しに心配してくれてる、例のアレかな!?


それなら帰り道も一緒がいい。

一緒ならどの道を通っても安心安全で、幸せなのに。


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