死んでもあなたに愛されたい



誰だってよかった。

この際、ポルターガイストだってかまわない。


最悪な時間がわずかでも削られるなら。



――トントン。



「チッ。うっせぇな」



俺を足蹴にし、隅に追いやると、男は営業スマイルを顔に貼り付けてドアを開けた。


いいや、ちがう。

ドアは、すでに、開いていた。




「ん? 誰もいねぇじゃねぇか」




きょろきょろと見渡し、営業スマイルをはがしかける。

どこを見ても人っ子ひとりいなかった。きっと野良猫やら風やらのせいだったのだろう。


ガチャリ。
男はドアを閉め、鍵をかけた。


その刹那。




「なんだったんだ今のは」


「はいカンチョー!!!」


「ぉぎゃっ!??」




……えっ。

い、今、何が起こった?




「な、なんだ……!?」


「はいもういっちょ!!!」


「ぐぎゃあ!?」




……はっ?


い、いや、だから。

何がどうなってんだ!?



まるでこれまで息をひそめていたかのように、突如として、男の死角から、やけに小さな人影が飛び出した。

ほの暗い中、ちょこまかとうごめきまわるその小さな人影は、父役の股下をくぐったり、2回もカンチョーしたり、完全におちょくっている。



だ、誰だ? 子ども……?




「誰が、オレを……っ」


「くふふ」


「誰だっつってんだ!!」


「おっじゃましまーす」




高らかに響く、この、声。


知ってる。

俺は、よく、知っている。


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