死んでもあなたに愛されたい
ラブじゃなかった。
正反対だった。
彼女たちの知る“永鳥魁運”と、あたしの知る彼は、似ても似つかない。
たぶん、あたしと妹の双子以上に。
「関わらないほうが身のためだよ。だから、」
「気づいてたよ」
「……え?」
裾をつかむ影野さんの手に、そうっと触れた。
あたしの指は少し冷たい。
ガラス玉のような眼に、ゆっくりと彼女たちを映していく。
「彼が呪われていること」
「っ! ……あ……め、目が……っ」
華奢な手が震えながら、あたしの指をはじいた。
困惑と恐怖に混乱した顔色が、鏡に反射するみたく、色のない瞳の中に閉じこめられていく。
「き、気味わる……っ、ぁ、」
思わず口を覆う影野さん。
口がすべりやすい日ってあるよね。共感するよ。
本音であればあるほど、あっけなくこぼれていく。
「こんな目でもね、きれいだと言ってくれる人がいるんだよ」
どうかしている、と影野さんたちの表情が物語っていた。
それが死神だと伝えたら、どんな表情をする?
でも教えてあげない。
あたしだけが独り占めしていたいもの。