死んでもあなたに愛されたい






放課後になり、あたしは第2の作戦に挑む決意をした。


帰り支度を済ませ、よそよそしくなった影野さんたちに「またね」とあいさつをする。返事はなかった。



魁運との接触はゼロじゃなくなった代わりに、友だちがゼロになった。


致し方ない。

影野さんたちにはまだ少し刺激が強すぎたんだ。


ショックはない。慣れてる。
……別に、慣れてるもん。



あたしを怖がる子と上辺だけの関係でいるより、あたしを大切に思ってくれる人と特別な関係になりたい。



『先に声をかけた俺が言うことじゃねぇけど、よく俺についてこようと思ったな』

『……あんた、変わってんな』

『あと、学校ではぜってぇ俺に関わるな』



『ひとみのためなんだ』




モヤモヤは、消えた。



不干渉が是とされている空間の中。

境界線を引かれているのが、彼にとって、当たり前だった。


あたしを守ろうと、自分から境界線を示したんだね。



でもごめんね。

出会ったときから気づいてたよ。


あなたもふつうではないこと。



死神っていう通り名はさすがに把握していなかったけど、1周回って、ちょっとかっこよく思えてきたかも。



だからもういいよね?

そんなありがた迷惑な境界線、ぶっ壊してあげる。



< 47 / 329 >

この作品をシェア

pagetop