だから、言えない


「ちょ…、なんで竹本がいんだよ…」
「ことちゃんもお見舞いに来てくれたんだ。
よかったね」
「はぁ…?
全然よくねぇよ」

佐山さん、やっぱり体調悪そう。
声が弱々しい。
いつもと全然違う。

「佐山さん、
昨日はすみませんでした。
私がタオルを貸さなかったせいで
風邪を引かせてしまって…
その…」

私はアイスの入った袋を
佐山さんの前に差し出した。

「お詫びのアイスです。
よかったら…」
「竹本、お前……帰れ」

佐山さんはアイスの袋を受けとると、
静かにそう言った。

「連、せっかく来てくれたんだから、
その言い方はよくないよ」
「優……お前、何かたくらんでる?」
「別に何も」


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