だから、言えない
あまりにもおかきが美味しくて、
3袋目に手をのばしたとき、
村薗先輩の左手がのびてきて、
私の頬にそっと添えられた。
私は3袋目をつかんだまま、
固まってしまった。
そして、また、顔が熱くなって、
心臓の音がうるさくなってくる…。
「けが、痛い?」
先輩がものすごく小さな声でいった。
まるでもうすぐ寝てしまいそうな声だ。
それもまた、色っぽい。
「え、えっ!?あ、少し…」
「早く治るといいね…」
先輩の手はそのまま、
私の首筋、
そして、
鎖骨まで這っていき、
鎖骨の上に流れていた私の髪
を一束優しく掴んだ。