値札人間
「そういえば、この前家の近くでイツミに会ったよ」


「イツミ?」


ゴウはしかめっ面をして聞き返してきた。


イツミにはいいイメージを持っていないようだ。


クラス内で堂々とイジメを行っているのだから、当然のことだった。


「うん。パンケーキを食べに行くって言ってた」


「そう言えば近所にできたんだっけ。今度一緒に行くか?」


「うん!」


あたしは笑顔で頷いた。


すぐに誘ってきてくれるのが嬉しい。


「そういえば、アマネはどうしてるかな」


駅前の通りへ出たとき、ゴウがそんなことを言い出した。


「さぁ……ずっと学校休んでるよね」


「来られないんだろ。あんなことがあったんだから」


ゴウの声色はなんだか怒っている感じがした。
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