値札人間
残念ながら、あたしたちは少しも近づけない状態だ。


いつもならアマネイジメをしているイツミたちも今はイブキに夢中なのだから。


「ってか、イツミってゴウのことが好きなんじゃなかったっけ?」


ヤヨイが首をかしげながらそう聞いてきたので、あたしは肩をすくめてみせた。


「本気で好きだったのかどうかわからないよ。イツミって流行りものが好きだもん。男子生徒だって同じなんじゃない?」


イツミがゴウから離れていくならそれで問題なかった。


あたしたちの邪魔者がいなくなるのだから。


でも、問題はゴウの数値だった。


イブキの数値がずば抜けて高いため、ゴウの数値が低く見えてしまう。


あたしはゴウのことだ好きだけれど、彼氏としてふさわしいかどうかは別問題だ。


「アンリ、すごく怖い顔してるけどどうかした?」


ヤヨイに声をかけられて、初めて自分が眉間にシワを寄せて思案していたことに気がついた。


「なんでもないよ。国語の課題が難しいなぁと思ってただけ」


あたしは適当な言い訳をして、ほほ笑んだのだった。
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