値札人間
☆☆☆

教室から出ても数字から逃げることはできなかった。


廊下へ出てすれ違う生徒や先生。


ドアが開け放たれた教室へ視線を向けると、そこにも額の数字が見えた。


自然と足は速くなり、不安で表情が歪んでくる。


なんで?


なんであたしには数字が見えるの?


みんなが日常生活を送る中で、ただ1人取り残されてしまったような気がした。


できるだけ人の顔を見ないように視線を下に向けたまま、あたしは保健室のドアを開けた。


「あら、どうしたの?」


息を切らして保健室に入ってきたあたしを見て、保険の先生は驚いた表情を浮かべている。


その額にもまた数字が書かれていて、あたしは全身の力が抜けていった。


壁にもたれかかるようにしてズルズルと座り込んでしまう。


「ちょっと、大丈夫!?」


慌てて駆け寄ってくる先生の数字は1023145。


思わずその数字を黙読してしまい、強く頭をふる。
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