値札人間
初めてその話を聞いたときはさすがに背筋が寒くなった。


人気者になればなるほど、そういうリスクも背負うことになるのだと初めて知った。


「ごめん、俺手作りのものは食べられないんだ」


「えぇ~? あたし頑張って作ったのにぃ!」


イツミはイブキの気持ちも知らずに駄々っ子のように我ままを言い始めた。


その額の数字はどんどん低くなっていく。


あたしは見かねて席を立って2人に近づいた。


「イツミ、イブキは困ってるんだからやめなよ」


「はぁ? なんであんたにそんなことがわかるの?」


イツミは敵意をむき出しにしてあたしを睨みつける。


「いらないって言ってるんだから、プレゼントを強引に渡すのは良くないって言ってるの」


「なによ。ちょっとイブキ君と仲が良いからって調子に乗って……!」


イツミが怒りで眉を吊り上げ右手を振り上げた。
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