値札人間
嫌いな相手に積極的に話かけたりはしないはずだ。


ヤヨイのおかげで自身が出てきた。


「ありがとうヤヨイ。あたし、頑張ってみる!」


「うん。でも気をつけなよ? イブキ君のファンに嫌がらせとかされないようにね?」


ヤヨイからの忠告に一瞬嫌な予感が胸をよぎった。


イブキファンの中にはイツミも入っている。


もしイツミのターゲットがあたしに変更されたら……?


そこまで考えて、慌てて左右に首を振った。


現実に起こっていないことを考えても仕方がない。


あたしはあたしで頑張るだけだ。


気を取り直し、自分自身にそう言い聞かせたのだった。
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