値札人間
「だろ? どうして犯罪だって気がついてくれないんだろう」


「写真くらいならいっかって思っちゃうんだね。自分が見知らぬ誰かに隠し撮りをされたらどう感じるか、考えないからだよ」


あたしは強い口調で言う。


うつむいている生徒たちは身を小さくしてしまっている。


遠まわしだけど、こうしてチクチク指摘しておけば彼女たちも考え方を改めるだろう。


「今度そういう子たちを見つけたら、犯罪だってちゃんと言った方がいいよ? そういうのエスカレートしていくんだから」


「そうだよなぁ……」


「大丈夫だよ、イブキの言うことならきっとみんな聞いてくれるから」


「転校生なのに?」


その言葉にあたしは思わず笑ってしまうそうになった。


イブキはまだ転校生という劣等感を持っていたようだ。


でも、イブキの場合は最初からそんなものないに等しい。
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