値札人間
「わ、奇麗……」


急いでいるのに思わず足を止めて見入ってしまうほど可愛い花。


小さくて儚げで、それでいて濃いピンク色のしっかりとした色だ。


この畑のご夫婦が植えたんだろうか?


それとも、どこからか種が飛んできて根付いたのかな?


あたしは花の前にしゃがみ込んで花弁を見つめた。


その時だった。


「くしゅん!」


途端に花の奥がむずがゆくなり、くしゃみが出た。


「くしゅん! くしゅん!」


立て続けに出るくしゃみに顔をしかめ、立ちあがる。


次の瞬間目に違和感があり、強いかゆみを感じた。
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