煙の中の彼


「ふーん、事情聴取が必要そうね。」

ニヤリ、とニヒルに微笑む悠さん。

「それは月曜日からは止めて下さい…」

「ま、それもそうね!」

良かった……
悠さん酒豪だから気付いたらベロベロに酔わされて全部喋らされちゃうから月曜日からは勘弁…


その後は順調に仕事を終わらせ昼休みが来た。


「さぁ、吐きなさい。」

目をギラつかせる悠さんほど怖いものってないわ。

「聖と切れました。」

「まーたまた、嘘つけ、そんな訳ないでしょ
7年よ?7年」

「ホントです、ほら」

そう言って鬼メッセージが来てるアプリを悠さんに見せた。

「うわ、新着54件て、やば」

「見ます?中身も」

「え、いいよ。
葵がこんなに無視する事ないでしょ。
てか、最後のメッセージ葵みたの?」

「見てないですよ。開いてもないんで」

「見てみ、いや、見なさい」

「えええ、」

渋々みると、

『てめぇ、いい度胸だ。
月曜日家突撃してやる。』


え?え、えええ

「葵ちゃんと話したの?」

「いえ、お金だけ置いて逃げました。」

「どうすんの?家来るって」

「安心してください。聖は私の家を正確には知りません。」

「どうゆう意味?」

「私の実家と今一人暮らししてる場所のだいたいの位置しか知らないんです」

「家呼んだことないの?!」

「こういう事態のために呼びませんでした。」

「なるほどねー(なんと計算高い……)」


ランチのパスタを続きながら悠さんはふと思いついたような顔をして私に言った。

「ねぇ、とりあえず今日はうち来る?」

「え?いやー、さすがに悪いです」

「対価は葵の手料理!どう?」

「んー、それなら……」

「よし!決まり!じゃあ今日はひとまず家から着替え持ってきな?」

「はい、ありがとうございます。」

「お泊まりだー!!」

悠さんはるんるんで、私はちょっとほっとしながらランチを終えた。

なんとなく家を突き止められてしまいそうな予感はしてたから悠さんには感謝だ。

そのうち引っ越ししよう。

心機一転する意味も込めてペット可の物件探そう。

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