不本意ながら、極上社長に娶られることになりました


 優しい手が、何度も何度もふわふわと頭を撫でる。

 猫にでもなってしまったのだろうかと、そんなことをぼんやりと思っていると……。


「――つぐみ」


 遠くから名前を呼ばれ、薄っすらと目を開いた。


「おはよう」

「おはよう、ございます……」


 一瞬、自分の置かれている状況がわからなかった。

 でも、微笑を浮かべる千晶さんと、明るくなったいつもの寝室にいることで、昨日の全てを思い出す。


 夢じゃ……なかったんだ……。


「眠れたか」

「はい……」

「それは良かった」


 フッと笑みを浮かべた千晶さんの朝から爽やかな顔を見つめながら、昨日の晩のことに体が熱を持つ。

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