不本意ながら、極上社長に娶られることになりました
「ドラム式洗濯乾燥機……乾燥までしてくれちゃうんだ……」
それから前回はよく見ることのできなかった家電をひとつひとつ見ていった。
前回、ここでの生活を始めるにあたって、家政婦を雇うかどうするか桜坂社長に尋ねられた。
必要があれば手配をするとなんでもないことのように言われたけれど、そんな生活を送ったことのない私は即答で「大丈夫です」と答えていた。
炊事洗濯、掃除くらい人に頼まなくても私がこなせる。
断った私に桜坂社長は特に興味もなさそうに「そうか」とだけ言った。
「すごいな……この洗濯機とか、いくらくらいするんだろ……」
無駄に洗濯機の扉を開閉しながら独り言を呟いていると、突然ランドリー室のドアが開け放たれた。
「ここにいたのか」
「あっ……こんにちは」
突如現れた桜坂社長の姿に驚き、しゃがんでいた体勢から反射的にばっと立ち上がる。
今日は仕事の都合をつけて途中でここに来ると聞いてはいたけど、全く入ってきた気配に気付けなかった。