つまり、会いたいんです。

画面ごしでも甘々したい(希望)

「はーるー」
「はい」
「会いたい」
「はいはい」

小さいスマホの画面の向こうで、榛瑠はワイングラスを手に窓辺に立っていた。

暗い窓を背景に昼間の会社の友人たちとの雑談zoomで見た時と同じ服のまま、上半身だけが映っている。

一花自身はもう寝る支度も終わって、ネグリジェにうすいカーデガンを羽織って自室のベットに座りこんでいる。

部分照明に照らされた男の色白の肌を見て、なんだかやっぱり前よりも綺麗になっている気がする、と一花は思った。

「またお酒呑んでるー。めずらしいね」
「今日はそういう日にしたので」
「ふーん。ねえねえ、私に会いたくない?」
「会いたいですよ」

一花はベットに仰向けに横になると、画面の向こうに向かって言った。

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