つまり、会いたいんです。
「顔といえば鬼塚さんが雑談会に参加してた時、月ちゃんがお茶のセット持ってきてくれて。そしたら鬼塚さん、それまで天井を映しっぱなしだったのに、いきなり画面見始めて笑っちゃった」

「へえ…。それ、月子さん、メイド服でしょ?良かったんですか?」
そうなのだ、私が社長の娘だとか、お嬢様って言われてしまう待遇だとか隠しているのでちょっと困った。
油断していつもの通り対応してたら「誰ですか?」って言われちゃうし。

「うん、服は大丈夫と思うけど、言葉遣いとか色々、ついつい……。鬼塚さんがうまく合わせてくれて、事情があって家に一緒に住んでる親戚の人ってことで落ち着きました」
榛瑠は「よかったですね」と言って笑った。

「篠山さんとかすっごい美人って何度か言ってた、そういえば。本当に先輩の親戚ですか?って。なんか、失礼よね?」
画面の向こうの男はそれに言葉で返すことはなく、笑いながらワインをグラスに注ぎ足している。

なんだかこの人も微妙に失礼だよね。

言い返そうとした時、榛瑠に連絡が入ったようだった。ちょっと待っててね、と言って画面から消える。
暖色の部分照明に照らされた暗い窓が見える。
遠くで話し声がした。

< 7 / 34 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop