オオカミ社長と蜜夜同居~獣な彼の激しい愛には逆らえない~
◇◇◇◇◇
「美紅さん、今日、メイクのノリが悪くないですか?」
「えっ、そう?」
出勤してすぐスタッフルームで琴乃に聞かれ、ポーチから手鏡を取り出す。顔を映してみると、たしかに肌が少しかさついているように見えた。
「この頃、乾燥してるからかな」
十一月も後半になり、冬に向けて空気がどんどん乾いてきている。
「心なしか顔色も悪い気がします。体調が悪かったら無理しないでくださいね」
心配そうに念押しをし、琴乃は先に店内へ行った。
睡眠時間が足りなすぎるかな……。
鏡でもう一度自分の顔を確認する。たしかに目の下にはクマもできているし、全体的に血色も悪い。二十代も後半になればメイクでごまかすのにも限界があるだろう。
よし、今夜はアクセサリーを作らずに早めに寝よう。
そう心に決め、美紅も店内に向かった。