オオカミ社長と蜜夜同居~獣な彼の激しい愛には逆らえない~


彼女を見送るために玄関へいくと、そこに一慶の靴があった。
いつの間に帰宅したのだろう。美紅は全然気づかなかった。

玄関を施錠して、一慶の書斎へ向かう。ノックをすると彼の「どうぞ」という声が聞こえ、中に入ると一慶はデスクにあるパソコンに見入っていた。


「帰ってたのに気づかなかった」
「仕事の邪魔はしないほうがいいかと思ってね」
「そっか。おかえりなさい」
「ただいま」


そんな気遣いをされると、声をかけてほしかったのにと苦情も申し立てられない。


「帰ってきたのに仕事?」
「行き詰まったから気分転換に自宅でやろうと思ってね」


デスクに近づいてなにげなくパソコン画面を覗くと、そこにはウエディングドレスが描かれていた。


「綺麗……」


無意識にそんな言葉が出るくらいに美しいデザインだった。
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