オオカミ社長と蜜夜同居~獣な彼の激しい愛には逆らえない~

彼女が美紅の髪飾りを取ると、ふとドアをノックする音が響く。


「入るよ」


一慶だった。


「なんだ美紅、まだ着替えてなかったのか」


驚いたように中に入ってきた一慶は、すでにタキシードから着替えを終えていた。


「うん。脱ぐのがもったいなくて」
「あんまり俺を待たせないでくれよ」
「ごめんね。すぐに着替えるから」


そう言って、いったん美紅から離れたスタッフに「お願いします」と美紅が告げると、一慶は「少しふたりにしてもらえますか?」と人払いをした。

ふたりきりになると、一慶は美紅のそばにやって来て鏡の前に並んで立った。


「ほんとに綺麗だ」


式の前から何度となく言われているが、その度に美紅はうれしさと照れくささでどう反応したらいいのかわからない。
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