消えた卒業式とヒーローの叫び
第二章

 画面だけが恒星だった。

 唯一それは、部屋という真っ暗な宇宙で光を放つ。

 マウスを動かし、恒星の中に映る黒点のような文字の羅列に目を滑らせる。

 その中に、一際目立つコメントがあった。

『家にいて』

 手が動かなくなった。スクロールしようと思うのに、何故か画面はそこから動かなくて、文字に睨みつけられているような感覚に襲われる。

 コメントをした人の名を見ようとするも、それは文字化けしていて読むことが出来なかった。






 ようやく手がマウスを掴んだと思ったが、それはただの分厚い毛布だった。

 窓からは眩しい光が射し込んでおり、朝の訪れを知らせる。

「まただ……」

 近頃、同じような夢ばかり見る。それも警告夢のような。

 何故家にいろと言うのだろう。

 急に鳥肌が立った。ひんやりとした部屋のせいだと思い込み、再び布団を被る。暖房はタイマーの設定によって切れていた。

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