暁の夕暮れ ~夏の章~

 と、いうことで。

「おー…すげ、でっかいな…」

「ですね…」

 昨年オープンした、『ジュエル・アクアリウム』という名前の水族館。

 秋の後半にできたって聞いたんだけど、秋・冬・春ってお休みがなかったから…行けなかったんだよね。

 だから、夏休みに皆さんと一緒に行きたかった訳で。

「ん?“夏の納涼展”…?」

「期間限定ってヤツ?」

「お、楽しみだね」

 と、皆さんが話している。

「私、オープンした時からずーっと行ってみたかったんですよ。だから、嬉しいです」

 そう言うと、咲夜さんは微笑んで、

「そっか。良かったね、ことね」

 と言ってくれた。

「はい、すごく楽しみです!」

「それでは…と、その前に。全員でかたまっていては目立ちますし、2グループに別れますかね」

 と、怜さんが言った。

「あー、そうですね。どう別れますか?」

「名前の順で、4、4で別れる?」

「そしたら、涼さんと冬麻さんと、私と秀也さん…それと、怜さんと蓮さんと咲夜さん、菜央さんですか」

 私が呟くと、菜央さんは頷いて、

「すごいね、今の一瞬で分けられるって」

「うんうん、ほんと。尊敬するわ」

「えっ、そんな…恥ずかしいです…」

 私がそう呟くと、怜さんはくすっと笑って、

「それじゃあ、皐結さんの割り振りどおりに、別れて行きましょうか」

「はい!」



< 10 / 15 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop