暁の夕暮れ ~夏の章~
──────パシャッ。
うわぁ、撮られた…。顔写ってないよね?ドキッとした顔になってるの、恥ずかしいしなぁ…はぁ。
少しの間、沈黙が落ちる。
「あっ、ここ!いいとこ見ぃっけ」
その沈黙を打ち消すように、涼さんが言う。
そこは、少し高い丘のようなところ。太い木が横たわっている。
目の前は開けており、花火がきれいに、良く見える場所。
「木に座って、花火見よ」
「はい」
涼さんの隣に腰を下ろした。
空には、大きな花が咲き誇っている。
2人でしばらくそれを眺めていると、
「…ことね」
「なん、ですか?」
「この際だからもう言うけど……僕、最近気付いたんだ」
ゆっくりと語る涼さん。
その顔はとても優しげで、何もかもを知り尽くした、とでもいうような、大人な顔で。
私の知らない、涼さんだった。
「僕が言いたいこと、分かる?」
「……いえ」
「そっか、まぁ仕方ないけど」