暁の夕暮れ ~秋の章~

倒れたことね


【咲夜side】



「じゃ、最後咲夜くん」

「はい。ことね、大丈夫?」

 僕がそう聞くと、

「はい、大丈夫です」

 と微笑むことね。

「じゃあいくよ。よーい、アクション」

「楽しかったぁ」

「ん、それならよかった。そろそろ帰ろっか」

「うん。……あっ」

「どうしたの?あ……雨が」

「どうしよう、どこかに雨宿りしないと…」

 そう言っている間にも、雨脚は強くなってくる。

「あっ、あそこは?」

 僕はことねに呼び掛ける。

 しかし、返事はない。

「ん……?どうしたの………っ!」

 そこには、ことねの倒れた姿があった。

 どくんと、鼓動が跳ねる。

「……っ、ことね!」

「ことねちゃん!大丈夫?!」

 もしかして……

 僕はことねの額に手を当てる。

「あつっ、すごい熱…やっぱり、あの時…」

 無理、してたんだ…





「……はぁ……っ、はぁ……っ」

 苦しそうな呼吸を繰り返すことね。

「大丈夫って、言ってたけど……」

「やはりダメだったのですね…」

「……可哀想」

 そんな涼の一言に、全員がこくりと頷く。
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