公開告白される君と3日間の旅 ~夏休みは境界

祭、再び

ハジメさんが
白い オープンカーに
オレを乗せてきたから、

荷物持った メガネ美人と、
ユリヤっぽい お姉さんが
目を 丸くしてる。

やめろよな、ハジメさん!
『男の恋バナ』と、
とか、マジで やめろ。

ユキノジョウが、
ドヤ顔のハジメを にらむ。

「先輩!ハジメオーナーが、
とうとう 家庭的を夢見すぎて
男の子を、拐ってきてます!」

シオンが 仕返しとばかりに、
冗談気に からかい、

「オーナー。さすがに、オノコを
いきなり、連れてくるのは
反則です。それに、
オノコとの 同衾 !
アウトですね。アウト。」

何それ。お姉さん達、こわいな。

ヨミも シオンに 『乗っかる』
セリフを言って
ハジメに 苦い顔を させた。

「そこまでに してくれるかなぁ。
僕の 友人がぁ、引いてるよ~」

小さくなる ユキノジョウに、
ハジメは 2人を 紹介する。

そんな風に 話をしていると、
港に人が 集まってくる。
ザワザワと
してきた。

こんな 船に
オープンカーがなんか
とまってるから 当然か?

ユキノジョウは そう思ったが、
どうやら 違うらしい。

「聞いたら、盆踊りと花火が
港で、あるそうですよー!
産廃で 報道された 時から 、
元気を 出そって、
島の人で カンパして 花火を
上げ始めた そうですっ。」

シオンが、
お爺様キャプテンからの
聞き込みを、続ける。

「港の 一文字波除が 打ち上げ場所
なんですよ!そこじゃないです
か?!行きましょ。君もね?」

「この島で、まさか花火を見れる
なんてぇ白鷺くん~ラッキ~」

そう、ハジメは とまどう
ユキノジョウを、
いそいそと、オープンカーから
出してしまった。

「ハジメさん、とまるとこ、
出たまんまで、いけんの?」

それに、花火って、
人が集まるから 中止になった
とこが ほとんどだ。
サプライズで やるぐらいなのに。

「じゃあ、ゲストハウスには、
電話するわね。まあ、あっちも
知ってるてわしょ。今日と、
明日は、島では 各々盆踊り する
みたいですし。」

メガネ美人の ヨミさんが、
連絡してくれるみたい。よかった

一応、母親も、ユリヤも
きっと 帰らなきゃ 心配する。

「そうだねぇん。ヨミくん~、
よろしくぅ。あと、ディスタンス
気をつけてだねん。

まあ、
島の人が 800人で、今年は 外部
からはぁ里帰りと、ボランティ
アに、少しだからねぇ、
分別は ありそうだねぇ。」

ハジメさんは
オレに ウインクして言う。
この人、こーゆーとこが、
ウサンクサイんだけどね。

でも、
800人って、少ないんだな。

副女さんとか 事務さんに、
PTA室いると、たまに
うちの 学校の人数って
だいたい 400人て リンテンキを
お願いされる。

最近じゃ、多い方だって聞てる。
でも、学校2つ分の 人数かー。

ユキノジョウは、
「じゃあ、見に行ってもいいよ」
と、OKした。

「行きましょ、行きましょ!
ほらっ、オーナーも、
えーっと、白鷺くん?も!」

ええー。また『シラサギ』。

ユキノジョウが、
あきれて 連れられた所は、
港に、たくさんテントが 張られた
広場だった。

神社とかでいてる、テキヤさんは
いない 祭だな。
ユキノジョウは、広場を
見回して 確認した。

これ、大事。ねだん とか、
いてる お客さんが ちがう。


「わあぁ~。こんなぁお祭り~
初めてだよぉ。いいねぇ。」

ハジメが 喜んで、ヨミとシオンは、ジャンボパエリアを 見に行く

「ハジメさんて、お祭り行った
ことないの?えっと 神社とか」

うちは、毎年学校であるからな。
ここのも、子ども会でする、
夏祭りっぽいし。

ちがうのは、
祭の会場に、海の風が吹いて
涼しいこと だなー。


ヨミとシオン達から はなれた
ハジメに、ユキノジョウは、
聞いてみた。

「神社のお祭りっていうかから、
行事みたいなのは、あるけど
小学生とかじゃぁ ないかな~」

なんか、
まずいのか。白いスーツ着るし
お金持ちは お祭りいかないか。

もし、
監査女さんが いたら、
ハジメさんの 何が 見えるんだろ?

ユキノジョウは、
ハジメの返事に、「ふーん」と
かえしておいた。

くじ引きとか、的当てとか
きっと 島の人が 屋台をしてるんだ

やっぱり 学校でする
子ども会の夏祭りを 思い出す。
でも、なんかこう。

「白鷺くんはぁ、どのお店いくぅ
食べ物もあるしぃ、遊ぶのも」

ハジメが あんまり
子どもみたいに
目を キラキラさせるから、
ユキノジョウは、考えて

「じゃあさ!金魚すくい しよ!」

子ども会が仕切ってする 学校の
夏祭りには、
いくつか 保健所の事があって、
だせない屋台があるって 聞いた。

「オレんとこの 夏祭りさ、
どーしても、『金魚すくい』
出せない んだってさ。だから、
金魚すくい したい!」

早くに、
金魚すくいは 始めているのか、
子どもが、ビニール袋を
持っていたからだ。

ユキノジョウが、
ハジメの 手を ひっぱって、
ちょっと おどろいた。

「うん~ってぇ、
白鷺くん?どうかしたぁ?」

ハジメも そんな ユキノジョウに
気がついたのだろう。

この人、子どもみたいなのに、
スルドイから よく分からない。

「いつも、手、ひっぱってくの
ユリん手か、アコん手だから」

ユキノジョウは、
ハジメの手を 外して、
そのままで、金魚すくいの屋台に
2人で、歩いて行く。

「今頃 お姫ちゃんと、香箱ちゃん
どうしてるかなぁ~ってぇ?」

ハジメは 面白そうな 顔をして、
ユキノジョウを からかい始めた。

「あれじゃないかなぁ、やっぱり
盆踊りがある?!ってなってぇ、
島の男の子とかと~、
遊んでたりぃ なんかしてぇ~」

何も 言わない ユキノジョウを、
ハジメが チラリと 見るのが分かる


そーゆーことに、なってると、
オレも なんか イラっとする、
かも。
わかんない、けど。

「ハジメさん、副女さんは、
きっと 知らない とこの祭に、
ユリを 好きに させないから、
そーゆーこと、ならないよ。」

「すごぉいね。僕も白鷺くんの
読みにぃ、賛成~。へぇ~、
白鷺くんちゃんと、大人見てる」

何年、あの部屋に オレが
居てるって、思うんだよバカ。
あ、バレてるか。

ハジメの片方の まゆ毛が、
ピクリって、上がったのが、
ユキノジョウにも 見えて 思った。

港で見た、水色の魚を入れる
大きな容器に、
赤い金魚が、たくさん 入ってる。

Tシャツに タオルかけた、
おじさんが、ポイと オワンを
ユキノジョウに くれて、
ハジメさんが、お金をはらう。

ハジメさんも、ポイを持ってる。

「その 白いスーツ、ぬれるよ!」

ユキノジョウが、ギョッとして、
そのままで、ポイを水につける
ハジメに 注意した。

あ、いってるのにー!

ハジメは、すそを
そのまま 水につけた 上に、ポイを
やぶいた。

「はや!!」

「わあぁ!だってぇ~。初めて
金魚すくい したんだよぉ~。」

やぶいた ポイと、
ボトボトにした スーツのそでを
ハジメが ふって、
水気を 飛ばした しずくが
ユキノジョウとかに、かかった。

『お兄さん!冷たいよー。』

次のポイを、もらう ハジメに、
金魚を すくう 子どもが、
ブーイングだ。

「ごめん、ごめ~ん。じゃあ、
も~ちょっと 空けてくれるぅ」

まだ
やるの?ハジメさん、ちょっと。

『お兄さん!そんなにしたら、
こっちの、金魚が にげるよー』

バシャッバシャッと、
ポイを 水に入れる ハジメに、
また、子どもから ブーイングだ。

この人、モンスターだ!!
モンスター金魚すくい客だ!!

「ハジメさん、ほら、もう
ポイ やぶけてる!終わろ!」

ユキノジョウも、ハジメの
動きで、金魚は すくえてないけど
ここから、はなれる。

オレ史上 サイテー金魚数だぞ!
持って帰れねーから、いいけど!

ハジメは、
とうとう、白スーツの上着を
ぬいで 肩にかけた。

そでは、カフスを取って まくる。

ユキノジョウは、
冷たいイチゴあめを、
ハジメは たこ焼きを、持って
コンクリートに 座った。

意外に人きてるし、
さっきまで カラオケだったのが、
ネオンの盆踊り やってるー。

『かえろーかけろーぉよー♪』

流れるのが、盆踊りの曲か?

ユキノジョウは、
冷たいイチゴあめを かじる。
外は 冷えたパキパキの あめで、
中のイチゴは、ジューシー。

「うまっ!」

中のイチゴ、生イチゴか!

つい、半分食べて、
「うまいから、食べる?」って、
いるのが、ハジメだと
気がついた 、ユキノジョウだ。

「白鷺くんってぇ、本当に
香箱ちゃん達と一緒なんだぁ。」

ハジメが、たこ焼きを 口にして
ニマニマと 笑う。

しょーがないだろ。1年から
だから、4年5カ月だぞ。
会計男さんみたいに、言うと。

「役員してっと、休みん時も
たいてい、行事あるし、毎日
宿題して、いっしょだからな。」

ほとんど、365日 会うし、いる。

「白鷺くんってぇ5年だよね?
香箱ちゃんがぁ、6年でぇ~
お姫ちゃん、4年でよかった?」

ハジメに、ユキノジョウは
うなずく。

「なら、香箱ちゃんは卒業か~。
中学になるとぉ、また変わる
もんねぇ~。テストぉ、クラブ
とかぁ、始まるもんねぇ~。」

ユリヤにも、夏祭りで、
クイズ作ったり、コイン落としも
最後になる。

中学になると、子ども会の屋台をするなら、
男子と女子は、わかれるんだ。

それに、
祭も、中学なると、みんな
男子だけでとか、女子だけで
回るように なってる。

次の年に、ユキノジョウが
中学に入って、母親が役員に
なっても、
もう 春になったら、今と ちがう。

「ハジメさん、彼女、今
いないんでしょ? はじめて 好き
になった子って小学校ん時?」

盆踊りの曲に 合わせて、
タイコの音が ドンドンってする。

ますます、暗くなると、
真ん中に やぐらみたいに、
色とりどりの 丸風船のランプが、
キレイに 光る。

ハジメは、ユキノジョウの
問いに、「キタ~、恋バナ~ぁ」
とか 言って、

「僕さぁ、けっこう~子どもん時
学校を転々としててねぇ、初恋
あるのかなぁ~。って、感じ~」

あ、でも 恋多き 青年だよん~。
相談welcomeだよぉ~、どう?
と ユキノジョウに、ハジメが
話を せがむ。

なんだよ、
初恋わかんないぐらい
ナンパしてんのか、この人。

「はあ~。」

ユキノジョウは、思わず
いったい 何度目か、わからない
ため息を ついた。

「それにぃ。白鷺くんだってぇ、
わかんないんでしょ~?
どうしたらいいかぁ。それでぇ
香箱ちゃんのこと~、今好き
なんだなぁってぇ 思ってるん
だよねぇん。いいんじゃない?」

何が?!

ユキノジョウは、ハジメを見た。

「自然んな まんまぁ。
次どうしたい~とかぁ、まだ
わかんないまんまぁ。でもぉ」

ハジメは、他人事にケラケラと

「言う時はぁ、言わないとぉ、
ず~っと後悔するからねぇ。
どんなにぃ、運命の相手でも」

「だから、ハジメさんは、
すぐ、あんな ナンパするの?」

ユキノジョウが 口をとがらせた。

「ハハ!ナンパ?ちがうよん。」

どこに運命の相手がいるか、
わからないからだよー。とか、
ハジメは 言いながら
ラストの たこ焼きを
口に入れた。

『運命の相手』かー。

さすがに、ユキノジョウの周りに
そんな、ギザっちいのを
言う 子どもも、大人もいない。
けど、

「ねぇ、ハジメさんは、
スピリチュアルな 話って どう?
信じる?ウソだと 思う?

もし『あなたは、イケニエだ』
って、ヨゲンされたら信じる?」

ハジメさんは、
どう オレに 答えるんだよ。


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