だれよりも近くて遠い君へ
「先生、朝はすみませんでした。
少し寝坊してしまって、、、。連絡も次回からは忘れないようにします。」

「ああ、そうしてくれ。たのむぞ。」

失礼します、と礼をしてから職員室を出る。
長くて堅苦しい廊下を歩く。
だるかったなあ。ちゃんと、感じよくできたかな?
嫌な印象にはならなかったはずだけど。

怖くなる。

何が、どこが、嫌われる原因になるのかよくわからないから。

「春、、」

また来た。

「さくってさ、私にGPSでもつけてんの?
 たかが職員室ぐらいでなんでついてくんの?
 大丈夫だよ?あ、そーだ、さくは怒られなかったの?」

何も言わずに、さくは横に並んでくる。
めんどくさい。
そういう時は絶対に早口になる。
なんか、さくには見抜かれそうでこわい。

「、、、、春のせいで怒られた。自分の成績考えろって。」

「そっかぁ、ごめんね。じゃあやっぱり今度から別々で行こ」

「、、むり」

、、、むり、、ね、、
なるほど、だって、お願いされたからね。
しょうがないよね。
そこに、さくの意思ってないんだもん。
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