だれよりも近くて遠い君へ

「わかりました。行きましょうか」

前を歩く男子の背中に、いつものさくが重なるように見えた。
さくよりも、姿勢いいし、不機嫌そうじゃない。
でも、顔真っ赤なんだけど。なにこの人?

「あの、顔真っ赤ですけど大丈夫ですか?」

病気なのかも、アレルギーかなにかかな?

周りを見ると埃がそこそこ溜まっていた。
しかも横を歩いたから、それがかなり舞っている。
最悪、この人埃アレルギーかな?
それならこんなとこに、来なかったらいいのに。

「もう少しこっちに寄ってくださいね」

壁側の方が埃がひどいんだもん。
可哀想だし、

「あっ、左右逆になりましょう」

肩を持って逆側に、誘導する。
なんか、赤みが増してるし、ずっとこっち見てくるし、居心地が悪いんだけど。

私も埃得意じゃないから、きついけど、他の人が体調不良なるよりはいいから場所は変わらない。

「なんで逆になったんですか?」

相変わらずの真っ赤な顔で言う。

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