愛妻御曹司に娶られて、赤ちゃんを授かりました
いきなり孫とか生々しいこと言わないでほしい。私も佑も気まずいことこの上なし。佑だって引いちゃうでしょ。

「えーと、まだ早いかなあ」

私はなるべく明るく感じ良く、自分の意見を口にした。

「妊娠出産のイメージ、湧かないっていうか。赤ちゃんは、いずれは欲しいけれど、私も佑忙しいし、今は全然考えられないです」
「あら、そうなの」

おばさまが言い、私は「ええ、まったく!」と力強く答える。

「咲花!またのんきなことを言って!」

母が叱るような声をあげた。父も横から険しい顔と口調で口を挟む。

「おまえはいいかもしれないが、佑くんの子どもは陸斗建設の跡取りになるんだぞ。早く子どもを作ることで、陸斗の将来を安泰にしようという気はないのか」
「まあまあ、若いふたりのことだから」

竜造おじさまが自分で話を振った責任なのか、うちの両親をなだめる。私は笑顔でいたものの、内心弱っていた。
ただでさえ、佑に対してどう接していいかわからないのに、私ひとりは充分ぎくしゃくしているのに、余計な火種を撒かないでほしい。子どもの話題は、なるべく触れないようにしてきたのだから。

ちらりと伺い見た佑は、平然とウーロン茶の入ったグラスを傾けていた。この話題には加わらないと決めたのか、黙っている。
あら、そんなに気にならないのかしら。私が気にし過ぎかな。
結局私は笑ってその場をごまかすことしかできなかった。
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