愛妻御曹司に娶られて、赤ちゃんを授かりました
結納を終え、車で帰宅すると時刻は17時過ぎだった。

「お夕飯どうする?お昼が重たかったから、お蕎麦でもゆでる?」

キーを置き、洗面所に向かう佑が背中で答える。

「俺はまだまったく減っていないな」
「あと二時間すればわからないわよ」

お蕎麦を出してきて、冷蔵庫をチェック。昨日実家から持たされただて巻きと昆布巻きとくりきんとんは食卓に出そう。
食事を考える前に着替えてこよう。

「咲花」

キッチンから寝室へ移動しようとしたところで、佑に呼び止められた。佑はネクタイを緩め、ジャケットをダイニングの椅子に掛ける。私を見つめるのは、冷たいような視線だ。そういえば、帰りの車も口数が少なかった。

「今日の親たちの話題」
「なんの話?」

とぼけてみたけれど、会食中の孫トークなのはあきらかだ。やっぱり佑も気にしていたんだ。

「孫の顔だ、陸斗の跡取りだと、急かして悪かった」
「あー、急かしたいのはうちの親の方だから。私は気にしてないけど、焦り過ぎだよねえ。私たちにはまだまだ早いのにね」

苦笑いをして見せる。私は気にしていないの部分は強調したつもりだけど。
佑が私に歩み寄ってきた。間近く見下ろし、口を開く。

「本当に早過ぎると思っているのか?」
「え?」
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