愛妻御曹司に娶られて、赤ちゃんを授かりました
『兄貴の婚約者の美里さんがいなくなったというのは聞いていたけれど、親父たちか?咲花と兄貴の婚約を言いだしたのは』
「まあね」
『普通に考えたらとんでもなく失礼な話だな。弟の次は兄って。……でも、咲花的にはアリで、いいんだよな』

遠慮がちに確認されて私は笑った。

「アリよ、アリ。気づいてたんでしょう?私の好きな人」

傑が低く笑って答える。

『ああ。子どもの頃から一緒にいればわかるよ。だから、兄貴の婚約者が失踪するとか正直咲花にはラッキーだと思ってた』
「まさか、傑が仕組んだとか言わないわよね」

もちろん冗談で言う。傑が私の気持ちに気づいていて、自分だけが幸せになってはと、佑と婚約者の仲を裂いて私のとの仲を取り持つようなことがあったとしたら。

『咲花は俺がそんなに器用だと思うか?』
「うん、ごめん。それはないね。傑だものね」
『馬鹿にされてる……』

冗談にもならなかった。傑は切れ者だけど、性格はちょっと天然だ。こんな天然で純真な傑が私のために、よからぬ画策をできるはずもない。
やはり、降って湧いた幸運なのだと思うと、胸がドキドキしてくる。運命的……なんてロマンチックすぎかな。

『咲花の気持ちはずっと知ってたから、俺は素直に嬉しいよ』
「ありがとう。お互い、いい結果になったのかな」

傑と私は婚約を破棄してよかったのだ。傑は恋が実り幸せなのだから、私は私で佑と幸せになればいい。
佑にとっては、気を遣った婚約かもしれないけれど、私は私なりに佑のいい奥さんになろう。一緒にいるうちに好きになってもらえるように。

ただ不安は残る。私はいつまでも傑を弟としか思えなかった。佑はいつまでも、私を妹としか思えないんじゃなかろうか。
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