そしてまた、桜はさきほこる
これが俺の片想いだったら、ただ俺が我慢すれば良かっただけなのに。


俺が枕を涙で濡らせば良かったのに。


それだけで何も問題はなかったはずなのに。


なのに、俺は気づいてしまった。


全校集会の時に、壇上で話している俺にまっすぐ向ける視線に。


部活の時に、グラウンドの端から俺を応援する視線に。


バカだ。


なんで気づいちゃったんだろう。


そういうことに敏感になっている自分も嫌いだ。


それを知っちゃったら、諦めることなんてできないじゃん・・・。


俺は毎晩、ネクタイを強く握りしめながら、泣いていた。
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