電話のあなたは存じておりません!
 曖昧な表現をするのは、複数から暴行を受けたとか、教科書や上靴を隠されたとか、トイレで水をかけられたとか、そういう決定的なイジメと断定付ける被害には遭わなかったからだ。

 ある日突然グループの女子から無視をされるようになった。

 当然メッセージアプリのグループからも外されて、いきなりの孤独を味あわされた。 

 あの時誰かに相談したような気がする。

 担任の先生か、部活の顧問か先輩か……誰かに。とにかく記憶は朧げだ。

 しかしながら、された事はしっかりと覚えていた。

 学校の裏掲示板に匿名のアカウントで私の名前と併せて、誹謗中傷がつらつらと書き込まれていた。

 その内容は恋愛にまつわる女の嫉妬が主で、誰々の彼氏を取ったとか、誰々の彼氏を誘惑しただとかそんな低俗な陰口だった。

 思い返せば私もモテなかった訳じゃない。

 特別美人で華があるとか、そんなキラキラした女子じゃ無かったけれど。

 私は男女分け隔てなく仲良くしたいと思っていたおバカな女子で、恐らく隙だらけだったんだと思う。

 何でこんなイケメンが私なんかを? と不思議に思いながら告白を受け、しかしながら、その人とのスペックの差から付き合うには至らなかった。
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