じれったい恋愛…~運命の人に気づくまで~

『うん!ありがとう!がんばるよ!

いや~でも、これから本当に大変だよ~!

部活再開と言っても今は野球部、何にもないみたいだから。

まず道具揃えたり、ボールとかネットとか…。

それに、部員もいないからねぇ。
部員が集まらないと野球もできないじゃん?

野球は9人いないとできないスポーツだし。
俺らの学年では今のところ自分含めて2人、1年生も確か3人位は入ってくれるようなこと聞いたけど、それでも5人。
まだまだ野球できる人数じゃないよね。

だから、試合もできないだろうし…。

それでも、自分はずっと野球、やりたかった事だからとにかくやるしかないよね』


『うん、本当に大変なんですね。

何かを始めるとか立ち上げるって、すごく大変な事なんですね。

でも、先輩はすごいです!それをやろうとしてるから』


『いや~、まだ始まってもいない、始めようとしてるところだから上手く行くかどうかもわからないよ。

でも、高校生活で悔いの残るような事はしたくないからね。

やれるだけの事はやって、賛同してくれる人が増えていけばいいなと思う!』


『はい、少しずつでも部員が増えて、また来年の新入生も入れば野球ができるようになるかも知れないし。

先輩の努力はきっと実ります!頑張ってください!』


『うん!ありがとう!
陽子ちゃんに応援してもらって何だか勇気が湧いてきた。ありがとね!』


こんなにも強い思いでいた水谷先輩。
私が初めて先輩を見たときに感じた、芯の強さ。
それはこういう事だったんだろう。



私は能天気な何も考えてない、おバカな女の子。


それに比べて先輩は同じ高校生とは思えないくらい、しっかりと自分の考えをもち、目標に向かって着実に進んでいく、強さと勇気、そして何より努力の人。


そんなステキな人を私は好きになったんだと誇りに思う。と同時に無知な自分、のほほんと生きている自分が恥ずかしいと思った。



性格は簡単には変えられない。



私は努力家ではないと思うし、先輩のようなしっかりした考えも持っていない。


自分の興味あることしかあまり知ろうとせず、苦手な勉強はやる気もおきない。


水谷先輩。私からすると年齢はたった1つ上なだけなのに、すごく大人に思える。


こんな私が先輩を好きでいていいのか、恥ずかしい気持ちもあるが、今さら先輩を好きでなくなることはできず、変わらず好きなままでいる。


でも今までと違うのは、゛好き゛に゛尊敬゛が加わったこと。


尊敬できる人を好きになるのは、おそれ多いこと。



それでも゛好き゛から始まった、この恋を止めることはできずに私は水谷先輩をこれからも尊敬しながら好きでいることだろう。



< 23 / 317 >

この作品をシェア

pagetop