じれったい恋愛…~運命の人に気づくまで~

『いえ、何でもないです!大丈夫です』


『ちゃんと食べてる?
食べないと元気も出ないからねぇ』



何でわかるの?私が昨日のあの件以来、食欲がなくて食べられてないことを…。



『何で先輩は…』



そう言いかけたけど、やめた。

(何で先輩はそんなにわかっちゃうの?)と心の声を思わず言いそうになったけど、言うことで心配をかけてしまうことに気付き、言葉を飲み込んだ。



『何でもないです…』


『え?大丈夫?
ちゃんと食べて、元気出すんだよ!』


『はい…』


『あ、もうこんな時間!遅刻しちゃう!
ちょっと急ぐよ!気をつけて付いてきて!』



そう言って先輩は私の前に出て、自転車をこぐ足を早めた。


先輩の自転車は27インチ、私のは26インチ。


タイヤの大きさが先輩のより小さい私は、必死で先輩のあとを追う。



自転車置き場で先輩と別れて、遅刻しそうな私は教室へと向かった。




教室の前まできて隆君を思いだし、足が重たくなる。


さっきまで、大好きな先輩と一緒に登校できたことが嬉しくほんの少しの間、忘れていたのに…。



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