一夜の艶事からお見合い夫婦営みます~極上社長の強引な求婚宣言~
今思えば、大里の登場の仕方はおかしかった。下で待つようにと言っておいて、なんの連絡もなしに拓海がほかの人を迎えによこすはずがない。電話で確認させないようにしたのも今となれば不自然だった。
眠くなるような環境だったにしても、ここへ運ばれるまで目が覚めなかったことも然り。あのお茶に睡眠薬かなにかが仕込まれていたのかもしれない。
「電話しないと、ここから出られませんよ?」
「それでもいいです」
実花子の判断ミスが招いたことだ。訴訟トラブルを抱えて大変なときに、拓海に迷惑を掛けるわけにはいかない。
ジリジリと睨み合う。
「いいでしょう。根気比べです」
大里が近くのダンボールに座ったときだった。実花子がギュッと握りしめていたスマートフォンが軽快な音楽で鳴り響く。電話の着信だ。
ディスプレイを見てギクッとする。拓海だったのだ。
実花子の様子でそれがバレたようだ。大里は素早い動きで近づくと、あっと思う間もなく実花子からスマートフォンを奪い取った。