一夜の艶事からお見合い夫婦営みます~極上社長の強引な求婚宣言~
早く着いてと願うときほどゆっくりに感じてもどかしい。こんな体勢を誰かに見られたりしたら、それこそ恥ずかしい。扉が開く向こうに誰もいませんようにと祈る。
「大丈夫?」
「え?」
急に話しかけられて、なんのことかと首をかしげた。
「気持ち悪いとか、頭が痛いとか」
「あっ……大丈夫、です……はい」
こんな近距離で話しかけないでほしい。ただでさえ実花子は心臓がバクバクなのだから。
拓海の顔が視界の隅に入っただけでも、その雰囲気に飲まれれそうになる。いっそひょっとこのお面でも被せてしまいたい。
「顔、赤いけど、熱でも出た?」
不意打ちでおでこがコツンとぶつかり、実花子は大きく目を見開き、息も飲み込む。
「ちょっと熱っぽいかも」
それはこの体勢のせいだと、なぜ気づかない。いや、気づかれても困るけれど。