一夜の艶事からお見合い夫婦営みます~極上社長の強引な求婚宣言~
「だ、大丈夫ですから、ほんと」
どうか放っておいてほしいと実花子は願うばかり。チンという安っぽい音で、エレベーターがようやく三階に到着したことを知った。扉の向こうに誰もおらず、ホッと息をつく。
「どっち?」
「あっ……み、右です、右の突き当り」
道案内をしながらお腹の上に乗せたバッグをゴソゴソして部屋のカギを探す。ところが、こういうときに限って見つからないトラップを仕掛けられ、焦りが増幅していく。
「ここだよね」
「あ、はい……」
部屋の前に着いたというのにカギはどこへいったのか。
拓海はそんな実花子を急かすわけでもなく、文句を言うわけでもなく、ただじっと見守っている。
なんて忍耐強さだろうか。重い実花子を抱き上げたままドアの前で棒立ちさせられているというのに。
そうしてやっとの思いでカギを手にしたとき、夜更けにも関わらず実花子は思わず「あった!」と叫んだ。