必ず守るから、だから、笑って


そしてその憎たらしい口をゆっくりと私の耳元へと近づけ、一言言い放った。



その言葉を聞いて動揺せずにはいられなかった。


いま、なんて……?


「クスクス。まぁ、頑張ってよ。くれぐれも蒼空くんの二の舞にならないように、ね?」



堪えろ。抑えろ。

怒るな。挑発に乗るな。


怒り任せの喧嘩など荒削りでなにも解決しないと分かっているだろう。



蒼空の死を、無駄にするな。


怒りを抑えるために拳を作っている両手が震えている。



「ふぅん。挑発に乗らなかったことは褒めてあげるよ。またね」



そう言い残し新堂は姿を消した。



なんで、いや、いつから知っていたんだ。



“最近、月霞と仲がいいみたいだね?”


倉庫に入ったところを見られていたのか?


それとも今日の朝?


晴葵と待ち合わせしていた駅か?



いや、それなら月霞と言わず晴葵を名指しするはずだ。



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