必ず守るから、だから、笑って

「いち、希愛が苦しがってるだろ」


いつかの日のように透理くんが救いの手を差し伸べてくれた。


ふぅ。

助かった。
本当に危うく窒息するかと思った。


「ありがとう、透理くん。助かった」


「どういたしまして。いちはなんでもかんでもオーバーにやるから、なんかされたら殴ればいい」


え゛っ。

真顔でなんて恐ろしいこと言うの…。


手加減して殴るなんてできないから反対にいっくんがやられてしまいかねないよ。



「あ、そうだ。それよりありがとう。無断欠席にしないでくれて。あと、ブレザーも」


「そうだった。はいっ、どうぞ。はーくんに言われた通り”なにもしてない”から安心してね」



「うん、ありがとう」



いっくんの手から受け取ったブレザーは確かに”なにもしていない”ことが分かった。


それに安心してきちんと畳み、袋にしまってから忘れないように、入口のドアの外の壁に立てかけておくことにした。


「ひめさんたち、”アイツ”が来るまであと少しかかるんだから、座ってしょーもない話でもしよーぜ」


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