皇女殿下の幸せフェードアウト計画
一度だけ私もご挨拶で呼ばれた。保護を求めて来た日当日だった。

そこにいたのは見た目からして可愛らしく気品溢れる双子の姉弟が、間に合わせに用意されたらしい簡素な服を身に纏って豪奢な椅子に座っていた。

それを見て設定とかを頭の中で何度思い返しただろう!

ちなみに、お姉様はその場にいなかった。

(……正式な皇女だけど、他国に対して妙な勘繰りをされたくないってところかしら)

各国の賓客よりも先に、まだ書面でしか各国に知らせていない皇女と、内乱中の公子たちを会わせたとなればまあ厄介なことになりそうなのはわかるしね。

とにかく、お客さまとして出迎えられた双子の公子は間違いなく私が思い描いていた双子そのもので、私の脳内では本物認定済みだ。

……勿論、そんなことを口に出せるはずもないので黙って見ていたし、何より彼らがエファージェン公国の公子と公女であるという証明がなされたからこそ私も会うことになったのだけれど。

そんな双子の傍には一人のむさくるしいヒゲ面の男性がいて、公国の騎士レオと名乗った。

(やっぱり思い返してみても、そんな人、物語にいたかしら)

少なくとも私が設定した人物ではないと思う、だって記憶にはないから。
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